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熱中症は予防できる災害 -熱中症対策セミナーを開催しました

熱中症予防セミナーを開催しました

2025年(令和7年)7月31日(木)、クラカグループ本社にて「熱中症は他人事じゃない!今日からできる”熱中症対策”」と題したセミナーを開催しました。

本セミナーには、炎天下で作業を行っているクラカグループの農業部門「クラカアグリ株式会社」の従業員を中心に、他部署からも有志の従業員が参加し、改めて熱中症の危険性と具体的な予防策について学ぶ、大変有意義な時間となりました。

熱中症対策セミナーを開催しました
 
全国的に熱中症による救急搬送者が急増しており、2024年5月から9月の総数は97,578人と、過去最多を記録しています。特に農業など屋外での作業は気温や湿度が高い環境で長時間作業を行うことが多く、熱中症のリスクが非常に高い分野のひとつです。

令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況参考資料:消防庁「令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況
 
今回のセミナーでは、なぜ今熱中症対策が強く求められているのかという背景から、法改正の動向、そして現場で実際に起こった事故事例やその対応策まで、幅広く学びました。2025年6月1日からは、改正労働安全衛生規則の施行により企業に罰則付きで熱中症対策が義務化されることが決まっており、職場における対策の強化が今まで以上に重要となっています。
 
セミナーでは「熱中症は適切な対策と迅速な対応により防ぐことができる」というメッセージが繰り返し強調されました。実際に、屋外作業中だけでなく、空調が効いた室内や夜間でも熱中症は発生しています。気温だけでなく湿度や疲労状態、個人の体質にも注意を払い、日々の観察や声かけ、こまめな水分・塩分補給といった基本的な対策を徹底することが重要です。

まず基礎知識として、熱中症が起こる基本的なメカニズムについても学びました。私たちの体は通常、汗をかくことなどで体温を適切に調節していますが、高温多湿の環境下では体内の熱を外に逃がすことができなくなるため、熱中症を発症してしまうのです。気温・湿度による「環境」、年齢、持病、体調などによる「からだ」、激しい運動や長時間作業などによる「行動」という三つの要因が重なることで、熱中症が発症しやすくなります。

熱中症はどのようにして起こるのか?参考資料:環境省「熱中症予防情報サイト 熱中症の基礎知識
 
特に印象的だったのは、体温上昇の深刻な影響についての説明でした。体内のたんぱく質は体温が42度を超えると変性し始め、重篤な後遺症が残る可能性があります。
この現象は、「茹で卵は生たまごに戻らない」という身近な例を用いて、分かりやすく解説されました。一度変性したたんぱく質は元に戻ることがないため、熱中症による体温上昇は取り返しのつかない損傷を体に与える恐れがあることを、参加者全員が深く理解することができました。
 
熱中症予防の具体的な対策としては、まず本格的な夏が来る前から、ウォーキングなど軽い運動を心がけ、体を徐々に暑さに対応させる「暑熱順化」が重要であることが紹介されました。

日常の健康管理として、飲酒・二日酔いや睡眠不足に注意すること、朝食を摂取していない場合はカリウム・マグネシウムを含むバナナとそれに塩をかけてナトリウムを補給する「塩バナナ」が効果的であることなどが説明されました。

また、業種によって長袖や手袋の着用が必要な場合には、できる限り通気性の良い服や空調服を活用した環境評価・防護対策についても触れられました。作業環境の客観的な評価には「WBGT(湿球黒球温度)」、いわゆる「暑さ指数」を活用し、WBGT値に応じて計画的に休憩を取ることの大切さが強調されました。

最後に、水分・塩分補給の判断材料として、爪を押して色の戻りを確認する脱水チェック法や、尿の色による健康状態の確認など、日常的に実践できるセルフチェック方法についても学びました。

暑さ指数(WBGT)参考資料:環境省「熱中症予防情報サイト 暑さ指数(WBGT)について
 
その後の質疑応答では、実際に屋外で作業を行っているクラカアグリの現場からの声や、めまいや運動障害、全身のけいれんなど熱中症を経験した従業員の体験談が語られました。

クラカアグリから現場の声
 
当社の熱中症対策として、クラカアグリでは作業時に帽子や空調服を着用し、30分ごとに休憩を取ることを徹底しています。水分補給については、経口補水液やスポーツドリンクを準備し、休憩時以外でも各自の体調に合わせて自主的に摂取できる体制を整えています。
作業は安全確保のため、必ず2人以上のチームで行うことを義務付け、いつもと違う様子が感じられたらお互い声を掛け合い、熱中症の予防に努めています。

クラカアグリの熱中症対策を行っての作業風景クラカアグリの作業風景
 
クラカグループ本社では、総務部が中心となって熱中症予防に積極的に取り組んでいます。厚生労働省の発表資料をもとに熱中症の恐れがある者に対する処置フロー図を作成し、熱中症予防のリーフレットを社内に掲示しています。さらに、社内グループウェアを通じた情報発信や、経口補水液・塩飴の設置なども行っています。

熱中症対策の啓もうリーフレット

冷蔵庫に経口補水液を常備
 
今回のセミナーを通じて、熱中症は正しい知識と適切な対策を用いることで、そのリスクを大幅に減らせる「予防できる災害」であることを改めて認識しました。暑い夏がまだまだ続きますが、今日学んだ知識を活かして、しっかりと対策を講じていきたいと思います。

クラカグループでは今後も定期的にこのような学びの機会を設け、従業員一人ひとりの安全と健康を最優先に考え、継続的な情報提供と対策の徹底に努めてまいります。

この記事をお読みいただいた皆様も、どうぞお体に気をつけて、安全で健やかな毎日をお過ごしください。