岡山県倉敷市の青果市場

岡山県農林水産総合センター農業大学校で講義しました

2021(令和3)年10月5日、岡山県赤磐市にある岡山県農業大学校にて倉敷青果荷受組合理事長 冨本が特別講師として講義を行いました。

 

岡山県農業大学校は、農業経営の担い手を養成する機関として全国42道府県に設置されているもののうちの一つです。例年、当グループへ講演依頼があり、次代の農業の担い手育成の為、協力をさせて頂いています。

 

 

今回の講義では、1コマ目で野菜を取り巻く近年の状況を説明させていただきました。

青果卸売市場(中央・地方合せ)の取扱金額は1993(平成5)年の約5兆円をピークに、現在は約3兆円とその60%に落ち込んでいます。

 

 

また、市場経由率も2018(平成30)年には約54%に減少しています。輸入青果物を除いた国産青果だけでもここ15年間で約93%から79%へ落ち込みました。

>>卸売市場をめぐる情勢について(農林水産省資料)<<

 

その原因となるのは、生産者が直接消費者へ販売できるECサイト(ネット販売)や農協の直売所や青空市場が増え、卸売市場(中間事業者)を経由しなくなったことが考えられます。

 

 

そんな中にあっても、当社は年々売り上げを伸ばしています。

その理由は、『高齢化』『女性の社会進出』『単身世帯の増加』など生活スタイルの変化により、外食・中食(調理食品)が増加することに伴った、加工・業務用野菜へのニーズに素早く対応しているからです。

 

 

コロナ禍の影響で外食が一時落ち込んではいますが、中食(調理食品)へのニーズは増加し続けています。

当社は卸売(中間事業者)としての立場から、需要の変化に対応する為、カット野菜部門を立ち上げ、加工・業務用野菜を推進し、実需者の望む『定時・定量・定価格・定品質』に応えるために、生産者との契約取引を行うなどして実現し、売り上げを伸ばしています。

 

>>加工・業務用野菜をめぐる状況(農林水産省資料)<<

 

1コマ目は野菜を取り巻く近況と需要の変化について説明させていただきましたが、卸売市場や中間事業者、加工・業務用野菜や需要の変化と言った農業主体の話ではなかったため、学生には少し難しかったのか、ウトウトしている様子も見受けられてしまいました。

 

 

2コマ目では、生産部門を担うクラカアグリについて紹介動画を交えながら説明させていただきました。

農業を学んでいるだけあり、学生の皆さんも興味があるようで、真剣な眼差しで講義を受けていました。

 

まずは現在の農業の実態ついて説明させていただきました。

2015(平成27)年から2020(令和2)年までの5年間で基幹的農業従事者は約23%減少しました。

 

また近年では65歳以上が約70%を占め、深刻な労働力不足となっています。

>>農業労働力に関する統計(農林水産省)<<

 

 

その他にも日本の農業を取り巻く課題は多くあります。

例えば、後継者不足による遊休農地や耕作放棄地の増加については、排水対策をしっかり整備することで水田を畑地として活用しています。また、倉敷青果と生産地の間で契約取引を結び、初めから加工・業務用野菜の産地として取り扱うことで生産者が良い商品を作ることに集中できる環境を整え、農業所得の確保、経営の安定化を図っています。

 

これらの取り組みにより、今の日本の農地の大部分を占める中山間地域で『儲かる農業』を確立し後継者を育てられるようになるのではないかと考えています。他にも、スマート農業として積極的にITを活用したり、カット野菜工場から出た残渣を堆肥にしてクラカアグリの圃場に還元したり、新規就農者への農業支援も行っています。

 

クラカアグリでは、このように様々な取り組みを行いモデル的な農業を目指していることを説明させていただきました。

 

農業大学校で学ぶ学生さんはそういった現状の課題を解消する貴重な若い農業の担い手になろうとしている方たちです。

今回の講義が、学生さんたちの将来の指針になり農業の楽しさ、面白さ、厳しさを伝えられていることを期待します。

 

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