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中国四国地域加工・業務用野菜マッチングセミナーに参加しました

中国四国地域加工・業務用野菜マッチングセミナーに参加しました

2024年(令和6)11月11日(月)、岡山第2合同庁舎にて開催された「中国四国地域における加工業務用野菜マッチングセミナー」にクラカグループ倉敷青果株式会社カット野菜部部長の寺田がパネリストとして参加しました。


 
中国四国農政局主催のもと、『国産野菜シェア奪還プロジェクト』の一環として、管内の生産者等や実需者に向けて加工業務用野菜の生産、活用に関する情報提供及びマッチングを目的とした本セミナーは、会場参加70名、オンライン参加100名という規模で実施されました。既に加工業務用野菜に取り組んでいる生産者・事業者の方々はもちろん、これから参入を検討している生産者、実需者、行政担当者など、幅広い方々が参加されました。
 

国産野菜シェア奪還プロジェクトとは

日本で消費される野菜は、約6割が加工・業務用であり、そのうちの3割程度が輸入に占められている状況にあります。
農林水産省では、海外調達の不安定化によるリスク軽減のため、加工・業務用を中心とした国産野菜の生産、供給に関わる事業者の経営安定化等を通じ、国産野菜の活用拡大を図る「国産野菜シェア奪還プロジェクト」を立ち上げることとしました。

農林水産省「国産野菜シェア奪還プロジェクト」より引用

国産野菜シェア奪還プロジェクトのページへ

 
このセミナーでは、第一部で生産者代表による基調講演が行われた後、第二部のパネルディスカッションに寺田が参加しました。
パネルディスカッションには、生産者、中間業者、行政といった加工業務用野菜に関わる多様な立場のパネリストが集まり、物流や天候、地域間の連携など、それぞれの立場から現状の説明や問題提起、取り組みについて発表がありました。
 
クラカグループは、農業生産法人のクラカアグリ株式会社、卸売を担う倉敷青果株式会社、加工部門の倉敷青果株式会社カット野菜部を有し、生産から最終供給まで一貫して行っています。

加工業務用に特化した栽培により、規格の集約、調整作業の簡素化、資材の削減、生産性・生産量の向上を実現し、作業時間の短縮を図っています。これにより規模拡大が可能となり、十分な収益を上げることができるのが最大のメリットです。

また、稲作農家や野菜栽培未経験の生産者にノウハウを伝え、産地指導や担い手育成を行うことで、地域農家の自立を支援しています。

クラカアグリの担い手育成の取り組みクラカアグリの担い手育成の取り組み
 
加工業務用野菜を生産するにあたっては、まず売り先を確保し、多くの販売チャンネルを持つことが重要です。
播種前には、価格、規格、時期、数量、品種などの調整を視野に入れた上で、売り先を決めておく必要があり、難しい点でもあります。
ただ、作物の収量情報について実需者としっかり情報交換を行い、計画的に生産を行えば、それがメリットとなり、農業経営の安定化と継続につながるという考えで、生産者にノウハウを伝えています。

中間業者としては、当社が持つ多くの販売網を活用して、生産者からお預かりした生産物をしっかりと販売していくという取り組みを行っています。
 
当社は1945(昭和20)年に卸売業として創業しました。1998(平成10)年には、単身世帯や共働き世帯の増加、食の外部化という時代の変化に対応するため、「洗浄野菜プロジェクトチーム」を発足しました。

当初は卸売事業で築いた産地とのネットワークを活用し、契約取引や産地形成により原料を確保していました。しかし、安定供給には更なる体制強化が必要と判断し、産地との契約取引を拡大。2009(平成21)年から2011(平成23)年には「国産原材料サプライチェーン構築事業」に参画し、輸入から国産玉ねぎへの切り替えを目指した産地づくりに取り組みました。
 
その後、「強い農業づくり交付金」を活用し、県内に2000トンのキャベツ産地を作ることを目標に生産を開始。集出荷貯蔵施設を整備し、クラカアグリという生産法人を設立。自社の農産物処理加工施設で出荷調整を行う体制を整え、生産から加工、出荷調整までの一貫体制を構築しました。

クラカアグリで生産された玉ねぎクラカアグリで生産された玉ねぎ
 
圃場拡大にあたり、岡山県南部に加えて北部の新見市大佐・河内地区からもお声掛けをいただき、新たな生産地を確保することができました。

標高700~800mの圃場では、県南部と収穫時期がずれるため、県内での産地リレーが可能となりました。当社が何度も現地に足を運び、また先方にも来ていただいて事業内容を説明するなど、丁寧なコミュニケーションを重ねた結果、このような産地の拡大が実現しました。

また、当社では大規模な圃場確保が可能な干拓地ではなく、生産振興という観点から中山間地域の生産者に積極的に声をかけ、地域振興に貢献する取り組みを続けています。

これまでの経験を通じて、加工・業務用野菜栽培の新規参入には、行政と連携して地域の課題に取り組むことが重要だと実感しています。地域とのコミュニケーションを深め、真摯に農業に取り組むことで、徐々に信頼を得て、良好な関係を築くことができました。

岡山県新見市大佐(岡山県北部青果生産組合)の支援風景岡山県新見市大佐の支援風景
 
次いで、中間事業者としての当社の役割について、最近の情勢を踏まえてお話しました。

当社は生産者でもあり、中間事業者でもあります。
契約取引において、安定価格で野菜を提供するための取り決めである『定時・定量・定品質・定価格』のいわゆる『4定』は大前提です。そのため人件費や資材代、肥料代、産業機械費など経費が高騰しているが、カット野菜についてコストを価格に転嫁しにくい、というのが実情です。

セミナー風景
 
農林水産省は価格転嫁問題への対応として、適正価格についての評議会を開催し、野菜に関するワーキンググループでは、サプライチェーンの関係者との議論を通じて、コスト上昇への対応を検討しました。
しかし、この問題は行政の取り組みだけでは即座に解決できるものではありません。売り手と買い手の信頼関係が重要であり、資材費や人件費の上昇による経営負担を、具体的な数字で示しながら理解を求めていく必要があります。

そして最終的には消費者の理解が不可欠です。サプライチェーンのどこかに歪みがあってはならず、消費者の納得を得ることが重要です。物流2024年問題は、過度な価格競争による業界の疲弊が社会的にクローズアップされ、広く議論を呼んだ好例といえます。

このように、価格形成における課題を社会的な問題として認識させることが重要であり、農水省も継続的な取り組みを進めていく方針です。
クラカアグリでも儲かる農業のモデルの構築を目指し、その実現に向けて取り組んでいます。

会議の最後に
「中間業者、生産者としてシナジーを発揮できるよう、皆様の声を聞き、根拠に基づいた意見を伝えながら、共に邁進していきたい。また、変化に対応できる企業として、生産者の皆様にご認知、信頼していただけるよう尽力していきたい。」
という事をお伝えして、セミナーは終了しました。
 
当グループにとってもこうした意見交換会は大変貴重な場であり、これからも農業の現状を共有することで、地域農業の発展に貢献してまいります。