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JAさつないの皆様がご来社されました -「十勝ブランド」を支える取り組み

JAさつないの皆様がご来社されました

2025年(令和7年)9月16日(火)、北海道JAさつない札内農業協同組合)より代表理事組合長の西田様、理事兼参事の貝出様がご来社され、意見交換を行いました。

JA札内の皆様との商談風景

安全・安心な「十勝ブランド」

JAさつないが活動する十勝地方北海道を代表する農業地域として知られています。

広大な土地と昼夜の寒暖差という恵まれた環境のもと、小麦、馬鈴薯、ビート、大豆、小豆といった農産物を全国トップクラスの生産量で生み出しています。
また、生産履歴管理残留農薬自主検査十勝型GAPなどの徹底した取り組みにより、安全・安心な農産物を供給し、「十勝ブランド」として市場で高い評価を得ています。

さらに、近代的な農業技術流通体制が支える生産効率と安定供給、そして徹底された品質管理により、本州の生産地に比べて消費地から遠いという距離的な要因を克服し、品質と信頼性の高い産地として確固たる地位を築いています。

北海道幕別町の忠類ナウマン象記念館北海道十勝支庁南部にあった忠類村で発見されたことを記念して建てられた忠類ナウマン象記念館

意見交換の様子

冒頭では、クラカグループ倉敷青果株式会社の冨本顧問より、長年にわたるお取引への感謝が述べられました。また、札内地域が国内有数の生産地として重要な役割を果たしていることや、気候変動など厳しい環境の中でも、引き続き生産者と当社が互恵的な関係を築いていきたいとの挨拶もありました。

冨本顧問からの挨拶
 
会議では、生産から加工・卸売・販売へと一貫して取り組める体制が当社の強みであり、部署間で情報共有を行いながらより高品質な青果物を安定供給する仕組みについて説明しました。

過去には食品業界全体で食の安全性を脅かす課題 (O157問題や産地偽装など)が発生しましたが、当社は業界に先駆けてISO22000認証を取得し、品質と衛生管理の両面から食の信頼性を高める取り組みを続けています。こうした地道な取り組みが実を結び、多方面への販路拡大という成果につながっています。
 
続いて、JAさつないの皆様からは生育状況や生産・流通の近況についてご報告いただき、当社からも市場動向を共有し、意見交換を行いました。

JA札内からの産地報告

大根の生産状況

ご報告の中では十勝地方の大根の生産状況についても触れられました。

北海道は全国有数の大根生産地であり、その中でも十勝地方は品質とブランド力で知られる地域です。帯広市の大正地域で栽培される「大正だいこん®」や、大樹町の「清流だいこん®」など、ブランド大根が生産され、北海道産大根の代表格として知られています。

しかし近年、屈指の生産地である十勝管内においてさえ、大根の作付面積が減少傾向にあるそうです。これは十勝農業協同組合連合会十勝総合振興局の資料でも確認することができ、その背景には複数の要因が指摘されています。

生産コストの増加と価格転嫁の難しさ

人件費や肥料、燃料などの生産コストが上昇している一方で、大根の販売価格は、上下動を繰り返しながらも徐々に上昇傾向にありますが、生産コストの上昇分を完全に転嫁するまでには至っておらず、依然として厳しい経営状況が続いています。

東京都中央市場大根月平均単価の推移グラフ(単位:円/kg)東京都中央市場大根月平均単価の推移グラフ独立行政法人農畜産業振興機構(alic)ベジ探 消費数量・購入金額より作成

作業負担の大きさ

大根は「重量野菜」であり、収穫や選別、箱詰めといった一連の作業に多大な労力がかかります。生産者の高齢化や担い手不足が進む中で、体への負担が大きい大根栽培を敬遠する傾向があります。

消費の低迷

食生活の変化に伴い、消費者の「大根離れ」も指摘されています。農林水産省の調査によると、大根の年間購入量は2014年と比較して約28%減少しており、家庭での大根の消費量も減少傾向にあることが、生産者が作付けを減らす一因となっています。

大根の1人当たりの年間購入量の推移(単位:g)大根の1人当たりの年間購入量の推移グラフ独立行政法人農畜産業振興機構(alic)ベジ探 消費数量・購入金額より作成

このような課題は十勝に限らず、日本全体で青果物の安定供給体制が揺らいでいることを示しています。
国民の食生活を支え続けるには、生産者、農業団体、行政が連携し、コスト増を吸収できる仕組みづくりが欠かせません。そのためには、気象リスク分散リレー出荷体制の確立物流基盤の強化スマート農業技術の導入など、持続可能な農業経営を支える取り組みが急務となっています。

市場の見学

最後に倉敷青果市場内をご案内し、実際の青果流通現場をご覧いただきました。いずれの施設も熱心に見学されていましたが、ご当地の十勝産野菜には特に関心を示され、足を止めてじっくりとご覧になっていました。

卸売市場内見学に出発

JAさつない管内の野菜を見学するお客様

今回の訪問を通じて、生産地と市場が抱える課題を共有し、相互理解を深めることができました。
今後も産地との連携を深めながら、国産野菜の安定供給と持続可能な農業の実現に向けて、ともに発展できる関係を築いてまいります。

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