岡山県倉敷市の青果市場

倉敷青果のカップネギ新生産ラインの稼働と食品安全管理の取り組み

カットネギ工場

倉敷青果株式会社では消費者向け、加工・業務用に様々な加工野菜を製造していますが、その中の一つであるカップネギの新しい生産ラインが当社のカット野菜工場で本格稼働を開始しました。
 
倉敷青果カット野菜工場
 
西日本最大級の規模を誇るこの工場は、『女性の社会進出』『高齢化』『外食産業』などの要因によるカット野菜の需要増加に対応するため2018年に完成しました。
>> 平成30年度 カット野菜・冷凍野菜・野菜総菜に係る小売販売動向調査(alic資料)<<
 
お客様の多様なニーズにお応えし、現在は5つの異なる規格でカップネギの製造を行っており、当社のブランド商品倉敷ねぎもこの工場で製造されています。
倉敷ねぎ
>>「倉敷ねぎ」生産開始!のトピックスへ <<
 
新しい生産ラインを導入した目的として、コロナウイルスの流行期において従業員が密集することを避けることがありました。従来の作業環境では、多くの人が同じ場所で作業を行うことから、感染リスクが高かったためです。また、生産面においては、人の手を多く介入させるほど微生物の増殖が起きやすくなるため、野菜の品質が損なわれやすくなります。
さらに、消費期限を延長することも重要な課題の一つでした。食品ロスの削減や、2024年の運送問題によるお客様やお取引き先からの消費期限延長の要望が増えています。
これらの課題に対して、新しい生産ラインを導入ことにより、生産効率を向上省人化を図り、品質を維持しながら消費期限を延ばすことができるため、これらの要求に応えることができると考えました。
 
工場で生産しているカップネギは、当社の農業生産部門『クラカアグリ』の圃場(ほじょう:畑や田んぼのこと)で生産された青ネギを使用しています。
栽培を開始した2017年度の12tの収穫量から2023年にはその約22倍にあたる270トンに増加しました。2024年度には、特に「菊千代」と「みやび姫」という2品種を中心に栽培し、320トンの収穫を目指しています。
 
圃場で収穫した青ネギは、当社の集出荷貯蔵施設に直送されます。この施設は大規模な冷蔵庫となっており、内部温度は約5度に保たれています。ここで青ネギはここで新鮮な状態を維持しながら根を除去し、洗浄された後、カットネギ工場へと搬送されます。
クラカアグリ青ネギ圃場
集出荷貯蔵施設
皮むき洗浄機
>>「集出荷貯蔵施設が完成」のトピックスへ <<
 
工場へ入るにあたり、食品を扱う企業として衛生管理には細心の注意を払っています。作業室へ入室する際は健康状態や体温をチェックし、吸塵機やエアシャワーでの毛髪や塵埃の除去、手洗い、消毒をしっかり行い、立ち入りエリアを制限、作業着は清潔なものを着用し、帽子やマスクを着用するなど、工場に入る全員が衛生面に徹底配慮して作業を行っています。
衛生面に徹底配慮
 
新しい生産ラインは食品加工のあるべき姿に立ち返り、数々の改善が施されています。効率化された一連の工程ではカップ詰めから始まり、蓋の取り付け、計量、ラベル貼り、金属検出、そしてスカラロボットによる運搬用ボックスへの充填までがよりスムーズに行われるようになりました。
また作業に関わる人員が5名必要でしたが、新生産ラインでは1名で管理することが可能となり、人手不足の解消という面でも大きな役割を果たすこととなりました。
蓋取り付け
計量工程
スカラロボットによる充填作業
 
その結果として生産能力も大きく向上し、従来は1ヵ月で約12万カップを製造していたのに対し、現在では2倍以上となる約26万カップの製造を行うことができます。
その他、生産効率の向上は企業の収益性を高めるだけでなく、機械を動かすための光熱費の削減、環境負荷の低減、お客様への納期期間の短縮など幅広い側面でメリットをもたらすこととなりました。
 
しかし、生産ラインの効率化が進んでも、安全性と品質の確保は最優先事項です。
カットネギを製造する工場や生産ライン上にはX線によって金属や異物を検知するシステムが導入されていますが、異物の混入や計量値に異常があった場合は生産ラインが自動的に停止し、その原因を特定する仕組みになっています。(幸い生産ラインが停止したことはありません。)
これにより、不具合のある製品の出荷を未然に防ぐことができ、高い品質の製品を安定供給することが可能になっています。
 
新設された生産ラインは効率向上を図りつつも、人の目と手による最終検査を欠かしません。原材料に異物や規格に合わないネギの混入有無や、完成品のカップの破損やラベルの正確な貼り付けなど品質管理には必ず人によって行われています。
生産ラインの効率化の好影響は品質管理の面にも及び、これまで生産ラインに従事していた人員を品質管理に充てることが可能となり、より高い精度での検査体制を確立しました。
金属・異物検知
カットネギチェック
 
このように倉敷青果では、収穫から製造まで一貫した安全管理と、工場での厳格な衛生管理、検査体制の強化により、安全で高品質なカップネギの安定供給を実現しています。
今後も継続的な改善に全スタッフ全員で取り組み、『安全・安心』な食品を皆様の食卓にお届けいたします。