福岡県のJA三地区(ふくおか八女、にじ、みい)を訪問しました
2024(令和6)年12月4日(水)、クラカグループ倉敷青果株式会社のカット野菜部課長の河合と作間が福岡県八女市のJAふくおか八女、うきは市のJAにじ、久留米市のJAみい園芸流通センターをそれぞれ訪問し、商談および圃場(ほじょう:畑や田んぼのこと)を視察しました。
うきは市民の憩いの場、城ヶ鼻公園にある浮羽稲荷神社から筑後平野を望む
はじめに、JAふくおか八女立花中央選果場を訪問しました。こちらでは、JAふくおか八女の若松様と宮原様にご対応いただき、年末年始の納品の確認を行った後、キウイの圃場やキウイ関連施設を視察しました。
JAふくおか八女の若松様(左上の画像右)
福岡県は令和5年度の国産キウイフルーツの収穫量全国第2位の生産地(農林水産省調べ)で、八女地区では、みかんからの転作(同じ農地に異なる作物を栽培すること)が進んでいます。
今夏の猛暑により樹木の乾燥が進み、開花不良と結実数の大幅な減少が発生しました。また、気温が10年前の鹿児島並みとなった、昨年の暖冬の影響で、収穫直前での落果も見られています。
キウイフルーツは冬季の休眠が重要ですが、暖冬により十分な休眠が得られず、花芽の発育が不安定になり、収量と品質の低下を招いています。さらに病害虫の発生も増加し、果樹の生育に影響を与えています。加えて、樹齢が40年に達し、高品質な果実を生産できる限界に近づいていることも、生産状況を厳しくしています。
国産キウイフルーツは流通量全体の約19%と少なく、大部分を輸入品が占めている状況です。そのため、愛媛県や和歌山県などの主要生産地と栽培技術や生育状況について情報を共有し、国産キウイフルーツの生産拡大に取り組んでいます。
次に福岡県うきは市にあるトマトの契約産地JAにじ園芸流通センターを訪問し、JAにじ営農部園芸指導販売課の永松課長、諫山係長にご対応いただきました。
JAにじ園芸流通センターでご挨拶の後、JAにじとうきは市が設立した新規就農研修施設「うきはレインボーファーム」を視察しました。この施設では、先進的な栽培設備を活用した技術習得や就農に向けた経営計画の策定など、新規就農者の育成を総合的にサポートしています。
トマト圃場にて。うきはレインボーファーム工場長の松尾様(画像中央左)と所長の樋口様(画像中央右)
トマトについては12月は比較的安定した収量が見込めそうですが、1月については厳しい見通しとなっています。不作の主な要因は、定植時の異常な高温と10月の夜温低下による生育への影響です。この気温の異変がトマトの養分が実よりも茎や葉の成長に優先的に使われ、着果不良を引き起こしました。
1月中旬から下旬にかけては再び安定した収量となりそうです。夏季の高温が常態化する中、冷房設備の導入や定植時期の調整など栽培方法について試行錯誤が続きます。
続いてトマト選果場を視察しました。選果作業は機械による効率化が進められていますが、重要な工程は人の目と手による判断が必要とされ、機械と人が互いの長所を活かした作業体制が確立されています。
この日最後に訪問したのは久留米市にあるJAみい園芸流通センターです。
こちらでは契約取引品目を中心に水菜、みつば、レタス、いちご、きゅうりの商談を行い、きゅうりの圃場へ向かいました。
きゅうり圃場にて。左から当社河合、生産者の山田様、JAみいの木崎様
この地域では40~50代の生産者3名が、11月から6月にかけてビニールハウスや温室での促成栽培できゅうりを生産しています。長年培ってきた栽培技術を基盤に、環境測定装置の導入など新たな取り組みも積極的に行い、安定した供給を目指しています。
きゅうりの生育管理において、実の成長を促すための脇芽かきは大変な作業ですが、これを怠ると主茎や果実への養分が十分に行き渡らず、果実の肥大に影響が出てしまいます。生産者の山田様によると、丁寧な管理により病害虫の発生も抑えられており、ここ数年で最も順調な生育状況となっているそうです。
JAみい管内で栽培されている主なきゅうり
ニーナZ
続いて、大刀洗管内のレタスの圃場を視察し、生育状況を確認しました。
今回の訪問でも、気候変動による影響は各生産地共通の課題となっており、特に猛暑や暖冬への対応が喫緊の課題です。その一方で、環境測定装置の導入や栽培技術の改良など、各生産地で積極的な取り組みが見られました。
今後も生産地との強固なパートナーシップを築き、互いの経験や知見を共有することで、消費者の皆様に安全・安心な青果物の安定供給を確立してまいります。
ご同席いただいた皆様、誠にありがとうございました。
今回訪問したJAのご紹介
JAふくおか八女キウイフルーツ部会が生産している主なキウイ
ヘイワード
甘うぃ(あまうぃ)